うつ病や不安にならない、心に免疫力をつける

心の免疫力で悪循環から抜けだそう

同じ年代、同じ職場、同じような状況にあっても、うつ病や不安生涯になる人とならない人がいます。
そのような違いがでるのは、ストレスに出会った時、本人がどれだけ「心の免疫力」(ストレスの対処法)を会得しているかに関係しているようです。

認知行動療法のスキルで心のトレーニングを

クリニックによっては、患者さんを治療するときに、薬物療法に加えて必要に応じて心理療法(カウンセリング)を行っています。

認知行動療法とは心理療法の1つで、ネットなどで見ると、不安障害などの患者さんに有効と書かれたページを目にすることができます。

この療法は、困った出来事に直面したときに、患者さんが本来もつ「心の免疫力」を取り戻し、さらに強くして困難を乗り越えていけるようようする療法で、比較的症状の軽い患者さんに対して効果があるように思います。

一方で、日常生活の中でそのスキルを応用した心のトレーニングを行えば、悪循環から抜け出す方法として役立つように思います。

私達の気持ちや行動は「認知」によって影響されています。

例えば、試験で90点を取ったとします。
ある人は、どうして満点でなかったのかと足りない10点に深く悩みます。またある人は、90点も取れたのだから努力すればいずれ満点になると喜びます。
後者のほうが精神的に心地がよいように思いますが、いかがでしょうか?

この場合の90点を取った時に瞬間的に頭に浮かんだ考えを「自動思考」といいます。

同じ出来事なのに人によって気持ちや行動、体の反応が違っているのは、私達の考え方や受け取り方が違っているからです。

自動思考が「満点取れないのは勉強ができないからだ」などと悲観的になりすぎるとつらくなってきます。

認知のかたより(アンバランス)

考え方や受け取り方が、根拠なくネガティブな結論を引き出したり(感情的決めつけ)、ささいなネガティブなことに注意を向けたり(選択的注目)、わずかな出来事から広範囲のことを結論付けたり(過度の一般化)するほか、必要以上に自分に関連付けて自分を責める自己非難や白黒思考・完璧主義など。

心の免疫力を高めることは自分でできる

うつ状態の心は、スパイラルとなって悪循環を続けていきます。
前向きな気持や行動がとれるようになるには、現実的でバランスのとれた思考に切り替えることが必要です。

うつ状態の心のしくみ

うつ病スパイラルとは、
憂鬱な気分から、うつ的な思考(認知)とうつ的な行動をとるようになり、
さらにその思考と行動が憂鬱な気分を生み出す、
という循環を言います。

考え方を切り替えよう

気持ちが落ち込んでいる時は過去を振り返って悩んでいることが多いのですが、過去は変えることができません。ですから、現実に目を向け、悩みの問題に対して「今から何ができるか」と考えるようにしましょう。
そうすれば気持ちも切り替わって不安は和らぐようになります。

具体的には、そのときに考えたこと(自動思考)を紙に書き出してみると、感情に押し流されることなく冷静に整理できます。
続いて、よい方法かどうかは後回しにして、問題解決の方法をいくつも挙げてみます。

次のように見方を変えてみましょう。

    たとえば、家族や友人が同じような考えをしていたら、どのようにアドバイスしてくれるだろうか?
    他の人がここにいたら、どうアドバイスしてくれるだろう?
    ほかの人なら、他の見方をしないだろうか?
    元気な時だったら、違う見方をしないだろうか?

それぞれの長所短所を検討し、解決方法が決まったら行動しましょう。
たとえ解決できなくても何に悩んでいるのかはっきりしてきます。

自動思考で浮かんだイメージや考えをもう一度考えなおして、毎日の生活の中で柔軟な思考のトレーニングをすれば、気持ちが楽になり、ストレスに対する免疫力も高まっていくように思います。